存在の不確かさ
何度も夢に見る
ナチの党本部だった大学の建物こと
外壁に銃弾の痕が無数に残る
ある時、ハーケンクロイツが建物に掲げられていた
大学時代には完璧に私のミカタだった守衛が教えてくれた
「シズ、映画の撮影だよ。ここでは時々ある」
校内に入って行くとナチの将校が大階段を駆け上がっていた
そんなこと、どうでもいい
朝一番の練習室を予約していたから
急いで守衛室で確認する
「シズ、キミの予約は入ってないよ」
いや、そんなはずはない
今日練習しなかったら間に合わないんだから
場所はスタジオに跳ぶ
すでにオケがスタンバイしている
楽譜は…鞄から出した五線紙は真白
焦ってMacを開く
HDにもiDiskにも
作品のデータはどこにも見つからない
大学の地下への階段前
立ち入り禁止の立て看板
守衛たちはおもしろそうに言う
「降りていっちゃダメだよ、地下は拷問室だからね」
G ガルシア・マルケス「エレンディラ」
現実と非現実を隔てる境界の危うさに溺れそうになりながら
あるはずのものの存在が不確かなこと
その現実は非現実をも飲み込む

