« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011年6月28日 (火)

お知らせ

東日本大震災復興支援チャリティ公演「手をつなごう 湘南から東日本」

日時  7月2日(土)10時半開場 11時開演
料金 1,500円 (うち500円は義援金)
場所 ラディアンホール
   神奈川県中郡二宮町二宮1240-10
問合 0463-72-6911

東日本大震災復興支援チャリティ公演「手をつなごう 湘南から東日本」が、二宮町生涯学習センターラディアン・ホールで7月2日(土)に開催される。主催/同公演実行委員会。共催/社団法人日本芸能実演家団体協議会震災復興支援プロジェクト・二宮町文化施設等振興協会。

公演の第1部は落語家と音楽家によるコラボレーション。フルート中瀬香寿子とピアノshezooのミニコンサートに続いて、音楽入りの落語が楽しめる。三遊亭遊雀が出演する。

第2部は、26歳の若さで早世した詩人金子みすゞが過ごした生涯最後の日を描いた創作落語「金子みすゞ最後の一日~みんな違って」(三遊亭圓窓作)と、朗読「宮沢賢治を読む」。

2011年6月 9日 (木)

【新・ジャズ攻略法:ジャズと即興と作曲を三位一体にする】富澤えいち

音楽ジャーナリスト、富澤えいちさんによる
4.16Trinite(トリニテ)@公園通りクラシックスの記事

音楽ジャーナリスト&ライターの眼 
~今週の音楽記事から~

【新・ジャズ攻略法:ジャズと即興と作曲を三位一体にする】
配信日:2011年6月9日 | 配信テーマ:ジャズ 

ジャズにおける“作曲家”の地位というのは、ビミョーだと言えるかもしれません。

というのも、即興性が重視されるジャズでは、あらかじめ定められた譜面どおりに演奏することに対して、あまり高い評価を与えなかったりするからです。

もちろん、完成度の高い楽曲は演奏者が取り上げる頻度も高くなり、結果的に“スタンダード”と呼ばれる名曲としての評価を得ることになります。

しかし、その評価とは、完成度の高い楽曲の再現がどれだけできているのかではなく、そこに自分ならではの表現をどれだけ発露できているかが重視されるというのが、ジャズの特徴なのです。

つまり、楽曲は演奏の基準となるものではなく、自己表現のための土台、きっかけを与えるべきもので、完成度の高い楽曲とは「それだけ自分流に崩すのが難しい、手強い相手」という評価を与えられるべきものとして位置づけるのが正しい、というわけです。

ところが、こんなジャズと作曲の関係性を根本から揺るがすようなライヴに出会いました。それは4月16日のこと。

当夜、東京・渋谷の公園通りクラシックスで行なわれたのは、Trinite(トリニテ)というユニットのライヴ。Triniteは、ピアノのshezoo(シズ)を中心に、ヴァイオリンの壺井彰久、クラリネットの小森慶子、パーカッションの岡部洋一という、ちょっと変わった編成のユニットです。

ボクがshezooの演奏を初めて観たのは、もう20年ほど前。当時はDEBORAH(デボラ)というヴォーカル&ピアノのユニットで、ジョージ・ガーシュウィンの曲をアレンジして全曲録音しちゃおうなんてユニークな活動をしていたので、おもしろい人だなぁと注目するようになったのです。その後、彼女はソロ活動を本格化し、ピアノ演奏とともに作曲にも勢力を注ぎ、映画「白い犬とワルツを」(2002年公開)や映画「戦国自衛隊1549」(2005年公開)の音楽を担当するなど、活躍の場を広げていきました。

Triniteは、もともと横浜市主催の2002年「シンフォニック・イン・ジャズ」(横浜JAZZプロムナード関連コンサート)のために発表したジャズ・コンボとオーケストラのための曲が発端。このときは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団との共演で組曲の第1章「The Prayer~祈り」が披露され、以降、ライヴを重ねながら第2章「月の歴史」が全容を見せ、当夜は最終章「神々の骨」がいよいよ姿を現わすということだったのです。

shezoo自身はTriniteについて「このプロジェクトが始まったころは、漠然と曲を作って、演奏するだけでした。でも、そのうちに、言葉のもつ力に惹かれて、歌詞をつける作品も増えてきました。ところがあるとき、“自分はなぜここにいるのだろう”という“哲学の入り口”のようなことが無性に気になり始めて、それからはテーマに対してひとくくりの楽曲と文章を提示するほうが、自分の考えがしっかり伝わるのではないかと思い、組曲の形態をとったTriniteへと移行していきました」と語ってくれました。

このようにテーマ性の強い作品を演奏するTriniteにとって、演奏者の自由なアイデアは邪魔になるのではないかと聞いてみると、「Triniteの楽曲の多くは、テーマとテーマのあいだにアドリブをはさむというような、わかりやすい形で構成されています。メンバーに対しては、アドリブであろうがフリーになろうが、とくに制限はしていません。彼らが作品の世界観を理解してくれているかぎりは、いかなる“炸裂”が起きてもいいという考えなんです(笑)」という答えが返ってきました。

shezooが提示し、メンバーが共有するという“Triniteの世界観”とは、いったいどんなものなのでしょう? それは「Triniteの演奏を聴いていると、『工事中の街に来たようですね』と言われたことがあります。言い得て妙だと思ったのは、わたしが造成した土地に、メンバーとともに設計図を見ながら建物や公園、またあるときは工場なども建設しながら、聴き手が訪れるのを待っている――、そんな感じがしているからです」ということなのだそうです。

ボクもまた、ライヴのたびに曲の印象が変わっていくTriniteの不思議な魅力についての答えを、「最初はまだ建物も少なくて、どんな街ができるのかわからない時期を経て、訪れる人が増えてくると、思いがけない場所に新しい店ができているのを見つけたり、前に建物があったところが空き地になったりしていて(笑)、サプライズがあります。Triniteにとってライヴを重ねるということは、いろいろな街を創造しながら、そこを旅していくというイメージが近いと思っています」という彼女の言葉によって見つけたような気がしました。

「音楽は、時間の経過を共有するアートであり、作品を感じてもらうためには、受け手に一定時間の拘束を強いることにもなります。メンバーも観客も、最初はお互いさぐり合いだったのに、演奏が進むにつれて心音や呼吸が重なっていく。ライヴがわたしを幸せにしてくれると思うのは、そんな瞬間なんですね」と笑ったshezoo。

彼女の作曲へのアプローチと音楽への距離感が、即興と作曲、そしてジャズの新たな関係性を生み出していくことを期待しながら、Triniteの“街”がどんな風景に変化していくのかを、見続けてみたいと思っています。

【concept】
ジャズに関する旬の話題を取り上げて、そこに含まれる「ジャズを理解するために必要なポイント」を分析し、解説していきます。「なんとなくカッコイイから」を脱却して、「なるほど、だから好きなんだ」と納得できるようになる、“読むジャズ観賞”の新シリーズです。
2011年6月 9日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:富澤えいち


« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

最近の写真